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2005年11月

2005.11.27

蟲師「第六話 露を吸う群」

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© 漆原友紀/講談社・『蟲師』制作委員会

ギンコを乗せた一艘の舟はとある絶海の孤島へ向かっていた。 その島から来た「ナギ」

少年によれば、島民たちから“生き神様”として崇め奉られている幼馴染の少女「あこや」

の身に起こる“奇跡”を調べてほしいというのだ‥‥。 人知れず当主の屋敷への潜入を

繰り返し、奇跡が起こった直後のあこや本人を診ることに成功したギンコは、鼻腔(びくう)

に寄生する蟲 ヤミヒルガオ を発見するが――。

今回の奇跡の事象を総合すると浮かんでくる元ネタは、有名な 人 魚 伝承でしょう。

水木しげる氏の著書「図説 日本妖怪大全」での解説によれば、“人魚はことばを話さず、

身によい香(かを)りがあってその肉は味がよく、これを食べると長生きするといわれる”

と記されています。

つまり、偉大なる海神として崇め奉られる一方で、人魚には「不老長寿」といった“いわく”も

多かったため、西洋のマーメイド伝説のような「悲恋の物語」ではなく、人間の欲望による

残虐な言い伝えの方が多いのだと思います。 そんな事を考えてみると、このエピソードの

終盤での「あこやの選択」と「ナギの理解」に込み上げて来るモノがあるでしょう。

余談になりますが、原作123㌻の描写はアニメーションならではの名シーンでした。

正に“スローモーションとはこう使うもの”という見本。 「魅せて」くれます。

次回は「雨がくる虹がたつ」。 どのようなCG演出になるのか、期待が高まります !!

<元ネタ推測>

鳥山石燕 今昔百鬼拾遺 雲 「人魚」

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建木(けんぼく)の西にあり。 人面にして魚身、足なし。 胸より上(うへ)は人にして
下は魚(うほ)に似たり。 是(これ)てい人国(じんこく)の人なりとも云。

2005.11.20

蟲師「第五話 旅をする沼」

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© 漆原友紀/講談社・『蟲師』制作委員会

とある山脈を越えようとしていたギンコは、その道中で不可解な現象に遭遇していた。

一つの沼を通り過ぎ、山腹まで登りきったあとで振り返って見ると、沼があったはずの

場所には何も無く、もうひとつの山を越えた頃になると次なる沼が出現するのである。

狐狸(こり)にでも化かされているのか――と考え始めた時、途中の沼でも見た覚えが

あった緑(あお)い髪の少女「いお」が現われて‥‥。 

今回の蟲 水蠱(すいこ) は劇中でギンコが説明した通り、その昔中国から伝えられ、

日本各地の「かっぱ」や「がらっぱ」伝承と同一化した 水虎(すいこ) という親玉格が

元ネタでしょう。 人の精血を吸ったり憑いたりするという恐ろしい妖怪であり、主に九州の

筑後川や滋賀県の琵琶湖にでたと言い伝えられてます。このモチーフが「沼」とどのように

フュージョンするかは、今回最大の観てのお楽しみです。 発想の転換というか、事象の

ダイナミックな飛躍というか。 原作者のセンスが光ってます !!

物語の終盤にその姿を現す蟲を観た時、思わずFCソフト「ファイナル○ァンタジーIII」の

ドールの湖に蠢くリ○イアサンの影を連想してしまいました。 世代がバレますネw

一方、キャラクターにも準レギュラーが登場。ギンコが各地で蒐集してきた蟲に関する

掘り出し物を買い取っている医者兼古物商の青年「化野(あだしの)」。

以降のエピソードにも再出演し、同類癖のあるギンコと絶妙の絡みを見せてくれます。

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>丸眼鏡がトレードマークの化野。良くも悪くも「コレクターを絵に書いた」ような趣味人。
  珍品の売却は金銭的収入源なので、ギンコにとっては大事な生命線でもある人物だ。

古来、漁村や水場に近いところで暮らしていた人人(ひとびと)は、「水害」というものを

とても恐れていたと思います。

何故なら生活の糧となる食物(じきもつ)や金銭の元手となるモノ全てが自然の循環に

左右される為。

結果、潮の異常や川の氾濫などを「水神の祟り」とし、酒や穀物を捧げて祈ったり、子供

(主に童女)を「人身御供」として間引き、そういった凶事から逃れようとしたのでしょう。

そんな事を心に留めながら、いおの心情を読んでみて下さい。

来週からは原作コミック第2巻の収録エピソードに突入。 「露を吸う群」からです。

<元ネタ推測>

鳥山石燕 今昔画図続百鬼 雨 「水虎」

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水虎はかたち小児(せうに)のごとし。 甲(かう)はせんざんかうのごとく、膝頭(ひざがしら)
虎の爪に似たり。 もろこしそく水の辺(ほとり)にすみて、つねに沙(いさご)の上に甲を
曝すといへり。

2005.11.13

蟲師「第四話 枕小路」

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© 漆原友紀/講談社・『蟲師』制作委員会

予知夢をみるという研ぎ師の男「ジン」の元を訪ねたギンコは、原因が蟲にあることを伝え、

その回数が増えたら飲むようにと調整用の薬を渡します。 それから一年が経とうとした頃、

再び訪れた町には人気が無く、一面に青い草が群生し、跡形も無く朽ち果てていた――。

今回のお題は  。 将来のという意味ではなくて、悪夢とか予知夢とかのユメです。

ワタシ達は一生の4割近くを「睡眠(すいめん)」という生理現象で消化していく訳ですが、

たとえ寝ていたとしても、耳を閉じるという事は出来ないので「ずっと音を聴いて」いるし、

眼球も瞼(まぶた)で覆っているにすぎないので「ずっとその裏側を視て」います。

そして「脳 」を“眠らせる”ことも出来ないから、昼間起きている時と同様に、ずっと活動を

止めてはいないわけで、実際には寝ながらにして起きている。

このような理由から、意匠家兼執筆家・京極夏彦氏は、著書「姑獲鳥の夏」において、

「人間は寝ていても体力を消耗するから、眠る事=疲労をとる、という事だけではない。

眠るという行為は、その日の間に自分が見聞きした“情報”や“体験”を脳が整理整頓

するために、外部からの情報を一時的に遮断する事務時間としての役割もある」

というような結論を導き出されています。

そんな状態で体験している夢の中と、現実の間を行き来する蟲がいるというのがこの物語。

予知夢に魘(うな)されるようになったジンの現世は、夢と現(うつつ)を結ぶ蟲 夢野間

(いめののあわい) によって破滅的に崩れていってしまいます。

後半に描かれる葦(あし)の原での「きぬ」と「まゆ」の言葉に、唯一の救いがありました。

次回は第1巻の最終に位置する5話目の「旅をする沼」。 大好きな蟲の登場ですw

<設定解説>

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ギンコが銜(くわ)えているのは 蟲煙草(むしたばこ) というモノで、純粋な煙草とは
異質のモノ。 体質的に蟲を寄せてしまうギンコにとっての蟲除け道具となっているほか、
吐き出す煙が意思を持って動くため簡単な蟲封じとしても使えるが、効力は気休め程度。

<元ネタ推測>

鳥山石燕・画図百鬼夜行 陽 「反枕」(まくらがえし)

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2005.11.06

蟲師「第三話 柔らかい角」

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© 漆原友紀/講談社・『蟲師』制作委員会

雪深い山の奥、谷底に近い静かな里。そこでは雪が降る晩に耳が聴こえなくなるという

奇病にかかった者が続出していた。

村長の願いで招かれたギンコは、症例を聞くうちに 呍(うん) という音を喰う蟲が原因だと告げる。

しかし村長の孫「真火(まほ)」だけは、 阿(あ) という亜種が寄生し、明らかに他の者達とは比較に

ならない症状だった‥‥。

原作でも好まれている「冬の集落」を舞台とした最初のエピソードが、この「柔らかい角」。

そして真火少年のオデコを見れば、日本人なら誰もが知っている  が元ネタなのだと

分かります。

古書「鳥山石燕 画図百鬼夜行」でも多種多様な形態で記録を残しており、牛鬼(うしおに)、

酒顛童子(しゆてんどうじ)、陰摩羅鬼(おんもらき)、百々目鬼(どどめき)、灯台鬼(とうだいき)、

鬼童(きどう)、鬼一口(おにひとくち)、栄螺鬼(さざえおに)、髪鬼(かみおに)などなど、かなりの人気者です。

しかし、登場する2種類の蟲の形状が、蝸牛(かたつむり)そっくりなので、その「触覚」も

イメージとして要素に含んでいるともいえるでしょう。

また、作者があとがきで「雪里描けて幸せ」と書いているように、私も雪山系エピソードは

大好きですw 合掌造りですよ ! 深々と降りしきる雪ですよ ! 人肌恋しい季節ですよ !

    ビバ ! 火の一族の末裔・卍丸の生まれ故郷 !!

    ビバ ! ペンション・シュプールではじまる恐怖の一夜 !!

    ムフ♪ 「‥‥人間も 冬は弱っていかんからな」(to すず)

是非「春と嘯く」も映像化して欲しいッ !! 次回は第1巻・3話目の「枕小路」です。

<元ネタ推測>

鳥山石燕 今昔画図続百鬼 雨 「鬼」

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世に丑寅の方を鬼門といふ。 今鬼の形を画(ゑが)くには、頭に牛角をいたゞき腰に
虎皮(とらのかは)をまとふ。 是牛と寅との二つを合せて、この形をなせりといへり。

≪ My Resonance Episode ≫

2005.11.01

蟲師「第二話 瞼の光」

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 © 漆原友紀/講談社・『蟲師』制作委員会

少女「スイ」は、光を見ると目が痛むという病を患っていた。その奇病に対する治療法はなく、

「ビキ」少年が住む家に預けられたスイは、より光を遮ることができる蔵の中で暮らしていた。

陽の光がまったく届かない真っ暗な闇の中で一人ぼっちのスイを想い、伝染する恐れが

あっても蔵に入りスイと遊んでいたビキだったが、ある日の晩、劈く様な痛みが目の奥に

走り――。

原作コミックを読んでいる方は御存じでしょうが、この「瞼(まぶた)の光」というエピソードは

原作者 漆原友紀女史が「蟲師」という題名で応募し、見事「四季大賞」を受賞された作品を

単行本向けに改名したモノであり、同女史の初期作品短編集「フィラメント」に収録される

「虫師」読み切り群を除けば、事実上の蟲師ファースト・ストーリーと呼べるものです。

時期的に大きな隔たりが出来てしまうのがアニメ化の宿命(しゅくみょう)ですから、矢張

思っていた通り、原作(単行本)の後書で作者自身が自嘲していたギンコのズボンのデザインが

映像化を機に修正され、某遊戯映画のトラックスーツっぽい物から至って普通のデザインに。

同様に、劇中唯一の洋装で差別化されている演出に合わせて、ビキ少年も着流し姿に

コスメチック・チェンジ。 この辺りの匙加減も絶妙です。

あと放送基準の制約なのか、 マナコノヤミムシ との対峙後に語られる「注射描写」

(173㌻1〜奪取2コマ目)が暗色で伏せられています。 かなり細かい箇所の修正表現ですが、

セルDVD収録版では原作と同じ表現になるかもしれませんし、こういった違いを楽しむのも

ファンならではの利点、といった所でしょうw

次回は第1巻 2話目「柔らかい角」。マイ・フェイバリット・シーナリーが初登場です !!

<設定解説>

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 光脈筋(こうみゃくすじ) とは、光酒と蟲が集まって地上の河のように一定の流れで
 生じる地下水脈のようなモノ。生命の横溢(おういつ)と氾濫をもたらすが万能ではなく、
 統制するヌシの不在や、移動その他の理由から涸渇し、それは人間界にも影響を及ぼす。

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