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2006.12.09

語り継がれるに相応しい3部作の幕引き

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観て来ました 武士の一分 !! 藤沢周平小説をベースとし制作された「たそがれ清兵衛」

「隠し剣 鬼の爪」等の作品群、通称「山田洋次時代劇」シリーズの完結編となるべく構想

されていたのが本作で、前作、前々作を含め、山形県の架空の藩「海坂(うなさか)藩」を

舞台にしており、その時代毎に存在していた下級武士に焦点を当て、エンターテインメント

が大前提である映画では削られがちだった日々の暮らし、末端の文化、物事の考え方、

低い身分であるがゆえの風習などの考証を徹底的に行っているのが特徴です。

日用雑貨に対するディテールの拘りが窺える火熨斗(ひのし)による裃(かみしも)の手入れ、

環境破壊が進んでいなかった時代を顧みる、蛍などの昆虫や野鳥の鳴き声の多さなどなど。

真のリアリティー を以って『原風景の日本』と『限りなく嘘を廃した殺陣(たて)』を撮影。

“丁寧に描く事”に一切妥協を許さなかったからこそ、一目で違いが分かる程の説得力が

あるのでしょう。 ホンモノ を追い掛けている私にとって、山田洋次監督は正に神様です。

個人的には清兵衛が50〜60代向け、鬼の爪が30〜40代向けだろうと推しているのですが、

本作はそこから更に下の世代=若い人に“こそ”、是非観てもらいたいと思いましたッ !!

三十石の平侍 三村新之丞、その妻 加世、仕える従者 徳平、仇役の上士 島田藤弥

などのメインキャストに限らず、それぞれに立場や事情がある“脇”の人々が抱える一分も

語らずして語られ、2時間10分という上映時間があっと言う間に過ぎてしまったと感じる程の

素晴らしいエピローグに イエー\(≧Д≦*)9ーイ !! のシュプレヒコールが巻き起こり、

私的「魂のMOVIE」入り確実の傑作と言えました。

不断(ふだん)と何も変わらない日常に突如起こる不条理。

夫婦愛が猜疑心に変わり、閉塞する未来。 想い慈しんだが故に訪れる決定的な別れ。

そして‥‥もしも自分が盲人だったなら――と想像しながら始まるクライマックスの決闘。

腰だめに構えた真剣が躊躇なく抜かれる。 視覚以外の全神経に劈く残響音。

相手は上段構えなのか ? 片手構えなのか ? 横斬りか縦斬りか ? それとも刺突か ?

道場での手合わせとは違う。 命懸けの闘いでは、相手は待ってなどくれないのだ。

僅かでも対処が遅れ、半身の距離でも気配を失えば、刹那に刃が貫いてくるかもしれない。

師匠をして「狂気の沙汰だ」と言わしめた果たし合いから、眼を離す事は出来ませんッ。

DVDでも観ます。 もう一度観に行ってもいい。 真の一流 に投資は惜しみません !!

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 © 2006「武士の一分」制作委員会

パンフレット(¥800)では島田藤弥を演じた坂東三津五郎氏のコメント文に共振しました。
対立モノの善し悪しを左右する決定打は、相手役の存在感が 立っているか どうか。
そういったキャラクターなくして感動は有り得ないと思いながら観に行ったので、書かれた
信条を読んだ時は「噫(ああ)、だからこの人が選ばれたんだ」と納得する事が出来ました。
シリーズ3部作に纏(まつ)わる用語などを解説した巻末トピックス「小事典」も必見です !!

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